著述家の視点 岸朝光のブログ

著述家の岸朝光が、社会でおこる様々問題を取り上げ、独自の視点で考察します

日本郵便の職場環境

6月からハガキや定形外郵便物などの料金値上げをおこなった日本郵便

値上げにより人件費などのコスト増をカバーするようですが、郵便局の現場では低賃金に対しての不満だけではなく、職場環境にも不満の声はあがっています。
値上げだけでカバーすることはできない、郵便局の職場環境とは一体どのようなものなのでしょうか?

厚生労働省ブラックリストで公表された日本郵便

厚生労働省が発表した「労働基準関係法令違反に係る公表事案」と題するリストでは、新大阪郵便局の事案が公表されています。
公表されたのは、平成29年2月28日に送検された事案で

休業4日以上の労働災害が発生したにもかかわらず、労働者死傷病報告を提出しなかったもの

というものです。


要するに労災を隠蔽するために、労働者死傷病報告を故意に労基署へ報告せず、安全衛生法違反で送検されたのです。


昨年の暮れ、ブラック企業大賞にノミネートされたことで、一躍ブラック企業としての認知度を上げた日本郵便。ノミネートされても、ブラック企業体質が改善されることはなく、このように違反企業として公表されました。


危険な業務に従事する労働者が、その業務で負傷しても、労災隠しに遭うようでは、安心して仕事をおこなうことはできません。
労働者が安心して仕事がおこなえるように、労働契約法では使用者に対して、安全配慮義務を課していますが、残念ながら新大阪郵便局は、この義務を無視しました。無視した上にさらに隠そうとして、検挙・送検されたのです。

ブラック企業対象のノミネート理由となった事件

ところで日本郵便では、新大阪郵便局のケース以外でも、安全配慮義務を無視して大きな問題となるケースが後を絶ちません。特に昨年のブラック企業大賞で、ノミネート理由となった飯塚郵便局でのパワハラ事件は、その最たるものといえるでしょう。

この事件は、当時の郵便局長が労働者に対して容赦ないパワハラ発言を繰り返し、精神障害に発症させたものです。
特に問題となったのは、被災労働者を含む複数の局員が参加した朝礼において、局長が別の局員を土下座させたという加害行為です。土下座強要した加害行為について福岡高裁

その場にいたすべての職員に対する安全配慮義務に違反する

としてパワハラと認定しました。
郵便局長による加害行為が、安全配慮義務違反とされたケースであり、人災により職場環境が悪化したのです。

郵便局で働く人の怨嗟の声

今まで紹介してきた事例だけではなく、自爆営業や非正規雇用労働者への差別的待遇など、日本郵便では労働資源であるヒトの問題を多く抱えています。
さらに国際物流へ参戦するために買収したトール社の業績悪化により4000億円もの減損を計上するなど、ヒトの問題だけではなくカネの問題も深刻です。
日本郵便代表取締役社長の横山邦男氏は、社員へのメッセージで「減損処理により、今後ののれん代負担(約200億円)がなくなります」と述べていますが、そこからは巨額の赤字を計上したことに対する、危機感を感じ取ることはできません。さらに職場環境の改善が遅々として進まない現状では、社員からの信頼回復も難しいでしょう。


ヒト・カネが危機的状況であることは、企業経営にとっては致命的です。特にヒトの問題が深刻であることは、ブラック企業大賞にノミネートされた際に、実行委員会へ寄せられた職員の怨嗟の声からも、手に取るように分かります。
横山社長は先ほどのメッセージで「お客様から評価していただくことで、明るい未来を切り拓いていきましょう」と述べていますが、まずは社員からの信頼回復が先ではないでしょうか。
日本郵便の職場環境改善が、明るい未来を切り拓くはずです。